4月27日(水)、Digital Entertainment Asset Pte. Ltd. (以下、DEA社)の事業戦略発表会が開催されたので、NFTnavi編集長として私も現地に訪問いたしました。
Play to Earnをはじめとする「X to Earnモデル」によって、世の中はどのように良い方向へと進んでいくのか。
そして、Web3の技術をどのように絡ませていくのか等について、今回発表されたDEA社の事業戦略とともに合わせてお伝えしていきたいと思います。
また記事の最後では、X to Earnモデルに対する筆者の所感についても、編集後記というかたちで述べさせていただきます。
事業戦略発表会の概要
時間 | プログラム |
---|---|
12:30 | 会場 |
13:00 | CEO 挨拶 |
13:10 | ゲスト挨拶(衆議院議員 山下たかし 様) |
13:10 | 〜写真撮影〜 |
13:15 | [第1部] DEAの会社・事業紹介 |
13:25 | [第2部] DEAの日本での事業展開 |
13:40 | [第3部] Play to Earnの最新動向と具体的事例 |
14:00 | 〜写真撮影〜 |
14:05 | 質疑応答 |
14:15 | 閉会 |
CEO 挨拶
まずは、DEA社のFounder&CEOでいらっしゃる吉田(@yoshidadea1)さんからのご挨拶。
DEA社がシンガポールで創業された理由として、トークン(FT)を発行してゲームで遊べる時代をつくりたいと思ったものの、日本では法律・会計・税務などあらゆる点ではっきりしていない点が多く、実現が難しかったと述べられていました。
シンガポールは当時からその辺りが明確になっていて、後から問題になることはないだろうと安心して事業を始めることができたそうです。
また、お話によると吉田CEOは、当時海外での生活経験もなく、英語も全く話すことができない状況であったというのですから驚きです。
「最高のエンターテインメントを全世界のユーザーに届ける」というスローガンのもと、『世界中の困っている人を助ける』というビジョンを実現するべく、今後どのようなアクションプランを実践していくのか。
今回の事業戦略発表に対して、来場者ならびにオンライン配信を観ている人たちの注目を集める、素晴らしいご挨拶であったように感じました。
ゲスト挨拶(衆議院議員 山下たかし 様)
今回のDEA事業戦略発表会では、ゲストとして衆議院議員の⼭下たかし議員がご登壇されていました。
山下議員は、日本の成長戦略、そして新しい資本主義の鍵はWeb3にあると仰っており、この業界に大きな関心を抱かれていることが分かりました。
日本には、アニメなどのコンテンツが充実していることからもWeb3との相性がよく、今後は日本から世界で活躍する企業を生み出していかなければならない
しかし、現在問題として法的な課題などが日本には多く存在することから、これからDEA社から多くのことを教えていただきながら、政府与党として追いついていきたい。
山下議員はこのように仰っていたので、今後の日本の税制改革や法整備、さらにはWeb3時代に適応した政策の立案など、個人的にも期待したいと思いました。
[第1部] DEAの会社・事業紹介
続いて、DEA社の共同CEOである山田耕三(@kozo_tx)さんより、DEA社の会社・事業紹介がなされました。
改めてご説明しておくと、DEA社はシンガポールを拠点とする企業であり、主にゲームとフィンテックが融合するGameFiの領域を中心にご活動されており、世界をリードするNFTゲームプラットフォーム「PlayMining」を運営しています。
「Web3エンターテインメント」という新しいジャンルを創出すること、そしてFinTechを内包したゲーム「GameFi」を活用して『ESG/SDGsを事業内容に含めたかたちで実現していくこと』を目的としています。
一般的なゲーム会社のように「儲かった後にその利益から還元する」のではなく、『GameFiのシステムの中に持続可能な社会貢献モデルを組み込んで展開していく』という考え方になります。
GameFiの生みの親として「Axie Infinity」などが挙げられることが多いですが、今回の事業戦略発表会の中ではそれらを「GameFi 1.0」と分類づけ、DEA社ではその次のフェーズ「GameFi 2.0」でリードしていきたいと仰っていた点が、非常に印象深かったです。
現在は「フィンテックのゲーム化」を体現したプロダクトが台頭しているが、今後はそれらの知見を生かした「ゲームのフィンテック化」に注目が集まっていく。
DEA社の運営するPlayMiningでは、エンターテインメント体験を主語にフィンテックを絡ませながら新たな体験価値の創出を目指していることから、今まで長期に渡り創り上げてきた幾多のゲームコンテンツをGameFi 2.0として価値提供していく、そういった心構えが垣間見えました。
既存のゲームと比較して面白いのか?
山田さんは、多くの人からこのようなことを言われてきたそうですが、既存のweb2モデルのゲームでは実現できなかったような価値を提供できるのがweb3時代のゲームであると仰っていました。
現に、DEA社の提供するPlay to Earnゲーム「JobTribes」ではスカラーシップ制度を導入しており、世界中の多くの人々に新たな雇用を生み出したり、金銭的に恵まれない人々を救ってきました。
これらの背景を踏まえて、『GameFiのシステムの中に持続可能な社会貢献モデルを組み込んで展開していく』というDEA社の考え方を改めて振り返ってみると、そこには強い意義と意思が感じられます。
以下の記事では、JobTribesのスカラーさんから届いた感謝の声が紹介されているので、合わせてご覧になってみてください。
[第2部] DEAの日本での事業展開
PlayMiningプラットフォームは、大きく分けて以下3つの要素から構成されています。
1の暗号資産「DEAPcoin」は、執筆時点において『日本の金融庁で正式に認可された唯一の暗号資産』ということで話題にもなっています。
PlayMiningプラットフォーム上に展開されるNFTゲームで使用可能なNFTを、PlayMining NFTで売買したり、ゲームをプレイすることで暗号資産DEAPcoinを稼ぐことができるエコシステムとなっています。
ちなみにPlayMiningという名前には、「PlayするだけでMiningできる」という意味が込められているそうです。
またPlayMiningでは、日本の有名IPとのコラボレーションが多数実施されている点も特徴的でした。
これらの作品の各キャラクターのNFTを販売しており、当然ながらいずれもPlayMiningプラットフォーム上に展開されるNFTゲームで、使用可能となっています。
今後もさまざまIPとのコラボレーションが予定されており、これらのIPファンならびにPlayMiningユーザーにとっては、目が離せない情報が盛りだくさんとなっていますね。
さらに、PlayMiningではNFTゲームコンテンツを充実させていくだけにとどまらず、クリエイターとユーザーとで共にコンテンツを発展・進化させていく試みとして「PlayMining VERSE」が企画されています。
その第一弾として、なんと「ドラゴンクエスト列伝ロトの紋章」で有名な藤原カムイ先生をお迎えした「Fujiwara Kamui Verse」がスタートしています。
いずれは、PlayMining VERSEから漫画・ゲームなどさまざまなコンテンツが生み出されていくことを想定されているとのこと。
将来的には、さまざまなクリエイターとのコラボレーションにより、第二弾・第三弾のVERSEプロジェクトが発表されていくそうなので、今後の動向に注目が集まりますね。
[第3部] Play to Earnの最新動向と具体的事例
エコシステムプロモーション部統括の小野(@mitsushi_ono)さんから、JobTribesの実際のゲーム画面およびPlay to Earnの一連の流れについて、解説がおこなわれました。
具体的に、PlayMiningのサービスがどのように稼げるのか、そしてどのような社会的貢献・インパクトを生み出しているかについて、とても分かりやすく説明されていた点が印象的でした。
先ほど、PlayMiningではスカラーシップ制度によって新しい雇用を創出していると述べましたが、本エコシステムには「ギルド」と呼ばれる集団の存在がポイントとなっています。
ギルドとは、NFTをスカラーに対して貸し出す大きな集団のことであり、NFTを貸し出したスカラーと利益を分け合うことでギルド事業として成立しています。
このスカラーシップ制度ならびにギルド事業者(NFT貸出し者)の存在により、初期投資がなくても誰でもPlay to Earnエコシステムに参入することができ、新たな雇用が創り出されるという仕組みです。
実際、東南アジアを中心に新たな雇用創出の手段として機能しており、世界中で金銭的に困っている方々の役に立っているわけですから、これは非常に素晴らしい事例であると言えるでしょう。
また先日、DEAPcoinが日本の暗号資産取引所「BITPoint」に上場したこともあり、今後は日本人が『スカラー制度を利用して副収入を得られる』といった事例も出てくるのではないかと述べられていました。
まとめ
本記事では、見どころ満載のDEA社の事業戦略発表会についての「概要」「見どころ」などを紹介しました。
Youtubeチャンネル には本発表会のアーカイブが残っていますので、ぜひご覧ください!
本記事では要点に絞ってその一部をご紹介しましたが、動画の方は非常にテンポもよく、笑いあり涙ありの会となっていますので、お時間ある方はぜひご覧ください。
チャンネル登録と高評価もぜひよろしくお願いいたします。
では、次回の記事もお楽しみに!
編集後記
今回のDEA社事業戦略発表会で、『GameFiのシステムの中に持続可能な社会貢献モデルを組み込んで展開していく』という言葉を拝聴し、それについてずっと考えを巡らせていました。
というのも、筆者はX to Earnには、『企業のバランスシート/PLでは評価されないような項目ではあるものの、社会にとって中長期的に良い作用をもたらす行為』に対するインセンティブを向上させる力が秘められていると考えています。
それは例えば、「脱カーボン化」「地球温暖化対策の促進」「発展(開発)途上国への寄付」などが挙げられるでしょうし、DEA社の事業戦略に照らし合わせるのであれば『貧しい国の方々への直接的な雇用創出』もその一例となるでしょう。
先の例では少し壮大な話に聞こえてしまうかもしれませんが、ミクロなレベルでは個人の『内発的動機』といった身近な話題についても、同じことだと考えます。
内発的動機付けとは内面に沸き起こった興味・関心や意欲に動機づけられている状態のこと。 動機づけの要因は金銭や食べ物、名誉など、外から与えられる外的報酬に基づかないものを指す。 社会心理学者のデジによれば、内発的動機付けには有能感と自己決定感が強く影響するという。
引用:内発的動機付けとは
内発的動機にもどづく行為及びその選別は、誰しもが容易にできることではないと同時に、この境地にたどり着くことはある意味では幸せなことなのかもしれないと、筆者は最近感じています。
- 無償でボランティアをおこなうこと
- お金持ちになって(節税以外の文脈での)寄付をおこなうこと
- お金にはならないけれど「やりたいこと」をやり続けられること
などは内発的な動機にもどづいた行動であり、この境地に辿り着くことができるというのは幸せのかたちの一つなのではないかという考え方です。
しかし、誰しもが皆、内発的動機にもとづいた行動を日々おこなっているわけではなく、おこない続けられるわけでもなく、もしかしたらその見つけ方すら分からないのかもしれません。
一般的に、お金を稼ぐための行動というのは外発的動機にもとづいた行いであるとカテゴライズされますが、突き詰めていくと長い目で大切になるのは「その先に何が残るのか」という話になります。
つまり、内発的動機を自分自身で見つけ出すことが得意ではない人々に対して、X to Earnモデルを元に外発的動機から内発的動機へ緩やかにシフトさせてあげることで、最終的には内発的動機による継続的な行動へと促すことができるのではないかと考えています。
自分のお金儲けのためにおこなった行為が、実は脱炭素社会づくりに貢献するよう設計されていた。
Play to Earnのためにおこなっていた利己的な行動が、実は世界の誰かを金銭的に救う利他的なおこないへと紐付けられていた。
web3テクノロジーを活用したX to Earnモデルにおいては、例えば上記のようなサステナビリティの高い事業設計を組み込み、中長期で実現していくことが可能であると筆者は考えています。
つまりこの私説は、「Play to EarnでEarnしたその先に何があるのか」が重要になってくる世界線です。
筆者は個人的に、上述の部分に着目して昨今のX to Earnモデルを俯瞰しており、今後も量産化されていくであろうX to Earnプロジェクトの動向と行く末を追っていきたいと考えています。
そういった意味で、今回のDEA社の事業戦略発表では、この私説の部分がエコシステムの仕組みベースで組み込まれたモデルであったことが非常に興味深かったと同時に、今後の中長期的な展開を見守っていきたいと感じました。
以上、編集後記としては長々と書き連ねてしまいましたが、最後まで読んで頂きありがとうございました。