OpenSeaでNFTを出品する際にガス代(gas fee)が必要な理由について解説

本記事では、NFTを扱う上で遭遇するブロックチェーンの技術部分における難しい話について、NFT初心者の方が「なぜその事象が起こるのか」についてのイメージを掴み、概括的に理解していただくことを目的とします。

そのため、できる限り専門用語を使わず、なるべく簡単にお伝えできるよう努めてまいります。

今回は、 「OpenSeaNFT を出品する際にガス代 ( gas代 )が必要な理由」について解説していきたいと思います。

皆さんは、NFTを扱う上で「何故この場面でガス代が必要なんだろう?!」と思ったことが一度はあるのではないでしょうか?

NFTをミントする時、NFTを転送する時にガス代が必要なのは何となくイメージしやすいかもしれませんが、その中でも『OpenSeaにNFTを出品(リスト)する時』にガス代がかかるのは、腑に落ちないという方も多いのではないでしょうか。

別にNFTを移動させているわけでもないのに、なぜガス代がかかってしまうのか。

本記事ではこの謎について分かりやすく解説していきたいと思います。


そもそもガス代はなぜ必要?

このあたりの内容は、ブロックチェーン全体の話になってしまい難しくなってしまいそうなので、イメージをつかんでいただくという目的のため「超簡潔に!」お伝えします。

今回はEthereumブロックチェーンのお話です。

執筆時点におけるEthereumブロックチェーンでは、特定の管理者が情報を記録するという仕組みではなく、 マイナー と呼ばれる人たちがブロックにTx( トランザクション )を埋め込んでチェーン上に繋げていく仕組みになっています。

このTx(例:5302の2番目)の中に、例えば「このNFTはあなたが保有している」などの情報が記録されていたりするわけですが、この情報を記録したり、別の情報に変更(例:NFTの持ち主があなたからXさんに変更)する際などに、別のTxとして新たに情報を更新する必要があります。

その際、マイナーと呼ばれる人たちがその情報が正しいかどうかをチェックして、情報の更新をおこないブロックチェーン上に記録するわけですが、その人たちはボランティアではなく、報酬が与えられるからマイナーをやっているわけです。

ここで支払われる報酬に、皆さんがTxを生成するたびに支払っているガス代の一部が当てられているという仕組みであり、それゆえにガス代というものが必要になっているのです。

でも、「OpenSeaでNFTを出品する際にガス代 ( gas代 )が必要な理由」は何なのでしょうか?それを次項で見ていきたいと思います。


実際の画面を見ながら確認してみよう

では、実際にOpenSeaの画面を見ながら事象について確認してみたいと思います。

まずはMetaMask認証を完了させ、右上にあるアイコンにマウスカーソルを合わせて「Profile」をクリックします。

そうすると、自身の保有するNFT一覧が表示されます。

今回は、以前『NFTを作ったことのない素人がOpenSeaでNFTを発行してみた』という記事で作成したNFTを例に、確認してみたいと思います。

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対象NFTをクリックすると「Sell」ボタンが表示されました。

これは、自身のアカウントが保有するNFTだからこそ表示されるボタンであり、このSellボタンが表示されていない場合は保有者が自身ではないということを意味します。

では、こちらをクリックします。

すると、上のように表示されました。

Amount(価格)の部分を「1」にして、青色の『Complete listing』ボタンをクリックしてみましょう。

するとMetaMaskのポップアップが表示されて、確かにガス代を求められていることが確認できます。

OpenSeaにNFTを出品するだけであればガス代は必要ないと習いましたが、なぜこの時ガス代がかかるのでしょうか。

もう少し詳しく見てみましょう。

Approve collection
コレクションをApprove(承認)する

You’ll be asked to approve this collection from your wallet. You only need to approve each collection once.
ウォレットからこのコレクションを承認するかどうか聞かれています。各コレクションの承認は一度だけ必要です。

これによると、自身のアカウントから”初めて”対象となるNFTコレクションを出品するためには、アイテムの販売を承認するために、gas代を支払ってブロックチェーン上にその情報記録する必要があるのです。

例えば上写真のように、筆者のアカウントで初めてNFTerukoコレクションをOpenSeaに出品する場合、「このアカウントのNFTerukoコレクションを、OpenSeaさんが動かしても良いですよ!」という許可を記録するために、1回限りのガス代が必要です。

次回以降、そのアカウントでどのNFTerukoをOpenSeaに出品する際でも「②Confirm listing」から始まり、①の承認許可のためのガス代は求められなくなります。(ガス代のかからない署名は求められます。)


OpenSeaに出品する際にガス代がかかる理由

最後に簡潔にまとめます。

OpenSeaにNFTを出品する行為は、Ethereumブロックチェーン上に情報を記録するわけではないので、本来ガス代はかからないはずです。

しかし、出品したNFTが売れたとき、そのNFTを誰かがガス代を支払って購入者に対して移転させなければ、スムーズな購買体験が損なわれてしまいますよね?

ということで、私の代わりにOpenSeaさんが『出品したNFTが売れた時、購入者に移転させておきます!』という行為を裏側でおこなってくれることで、スムーズな購買体験を実現しています。

そして、その権限を与えるために初めて出品するNFTコレクションに対しては、Approve collection(Set Approval For All)をおこなう必要があり、その際ガス代が求められるようになっています。

ちなみにOpenSeaでNFTを購入したことがある方はご存知かと思いますが、OpenSeaが代わりに送ってくれる際のガス代は、そのNFTを購入する側が負担して支払うことで帳尻を合わせています。


まとめ

この記事では、OpenSeaでNFTを出品する際にガス代(gas fee)が必要な理由について解説しました。

OpenSeaを使えばNFTを便利にやりとりすることができますが、なぜこのタイミングでガス代が必要なのかなど、よく理由が分からないまま使っていた方も多いのではないでしょうか。

この記事が、そういった方々の理解を深める一助になったのであれば幸いです。

他にも「こんな事象について取り上げてほしい!」などありましたら、後述する編集後記にあるDiscordコミュニティの方でご意見ください!


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